石和温泉 瑰泉 解説
「石和温泉」薬石の湯 瑰泉(かいせん)は「新旧日本列島斜交衝突大地」のロマンを物語る名湯である。


天然温泉は悠久の大地の語り部である。
石和・笛吹川温泉郷 石和温泉「薬石の湯 瑰泉(かいせん)」の温泉相特性
大月短期大学地球科学名誉教授 田中 収
「石和温泉」は、太平洋プレート・フィリピン海プレート・北アメリカプレート・ユーラシアプレートの4つのプレートが犇めき合う、新・旧島弧斜交衝突帯として、世界中で最もユニークな変動帯中の古い日本列島の基盤(関東山地地塊)と、新しい日本列島の基盤(御坂山地地塊)の境界部付近の岩盤、それに地下深部に貫入し結晶固化した、酸性深成岩体(花崗岩体)等からなる岩盤の上にある、二百万年以上という悠久の時の流れの中で形成された、甲府北山火山群堆積物も含む甲府構造性盆地堆積物の最深部で涵養され育まれた、甲府盆地深層熱水温泉帯(一九八四・田中 収)より湧出する天然温泉である。
また「石和温泉郷」は世界的に極めて貴重な特異地形である「甲府大三角構造盆地」の北端、西北西ー東南東走向の甲府北部断裂温泉帯(一九八四・田中 収)を深部に有す、甲府北山火山温泉帯及び、甲府盆地深層熱水温泉帯より一九六一年、ぶどう畑へ高温の湯が湧出したことから、「青空温泉」として全国的に有名になり、全国ベストテンに入る一大温泉郷に成長した湯けむりの里である。
石和温泉”薬石の湯 瑰泉(かいせん)”は、第一号源泉から第六号源泉の六つの源泉を利用し、泉温:四十五.九度の高温泉、泉質:アルカリ性単純温泉の湯を毎分百二十リットル使用する豊かな大自然の名湯である。
温泉効果としては、温泉熱や溶存物質による血液・リンパ循環の促進や自律神経の調整等の温熱効果の他に、身体の中へ酸素や栄養を多く取り入れ、老廃物を体外に排出し疲労を取る静水圧効果。リハビリ等に有効な浮力効果。人体の機能リズムの変化等による総合的生体調整作用効果。石和温泉の成分等からの医学的効果が期待される。
また、秩父多摩甲斐国立公園、南アルプス国立公園、富士箱根伊豆国立公園、八ヶ岳中信高原国定公園に囲まれた、副交感神経が卓越しやすい標高二百八十メートル盆地北端に位置し、休養・保養・療養の三養による体調の正常化や自己免疫力の増強等々、最も大切な健康条件を強めてくれる温泉相(スパ・ファシーズ)の特性を有する天然温泉でもある。
石和温泉の成分として、九十五mgのナトリウム、八gのカルシウム、二mgのカリウム等の陽イオン、八十mgの塩素、六十六mgの硫酸、二十七mgの炭酸水素、二十mgの炭酸、一mgのフッ素等の陰イオン、五十mgのメタケイ素、五mgのメタホー酸等を有するマイルドな副作用の少ない「療養泉」である。
また本温泉は水素イオン濃度ph九.一のやや高いアルカリ性であるので、三十八度前後の微温浴にやや長めに入浴することにより、カルシウム等の陽イオンが弱酸性の皮膚に作用・吸収されることで、入浴効果をより高めることが期待されるという特性をも有す、湯治場と考えられ、食事の直前直後、飲酒後等の入浴を避け、血液濃度を高めないよう良質な水分を十分に補給しながら、「かけ湯」「かぶり湯」、そして「半身浴」と十分に身体を温泉にならし「全身浴」と利用していくことが良いと考える。
石和温泉の”薬石の湯 瑰泉(かいせん)”は、高温浴・中温浴・微温浴・低温浴・冷水浴・薬湯浴・圧注浴・寝湯浴・桧外湯浴・宝石露天浴・高温薬石サウナ浴等を、極めて多様な薬石・貴石等の湯船でゆったりと満喫できる上に、薬石を七百度に熱し温めた百五十畳の効熱薬石ドームや薬石室は、最高の「温熱効果」が期待される近代的湯治場である。
南方に白山三峰の富士の景観を有しつつ、日本最高級の「効熱薬石ドーム」に代表される「温浴施設」と「天然宝石」のコラボレーションで完成された笛吹川の石和温泉”薬石の湯 瑰泉(かいせん)”を正しく利用することで、多くの人々が健康でより豊かな至福の人生を送っていただけたら幸いである。